この記事の結論
- 社長の判断を速くする近道は、判断基準を頭の外に出してAIに持たせること。
- 判断基準は一つずつ書き出し、社員役の質問でAIの答えとのズレを書き足す。
- 書類はAIが先に確かめ、最後に「なぜ」と問い判断するのは社長の役割。
01社長のところで、仕事が止まっていないか
社長の仕事の中心は判断です。ところが、その判断の基準は社長の頭の中にしかありません。だから社員は社長の確認を待ち、出した書類が差し戻され、同じ質問が何度も社長に届きます。会社が大きくなるほど、社長が詰まりどころになりがちです。
AIを使って「作業を速くする」話はよく聞きます。ここでは一歩進めて、社長の判断そのものを速くする使い方を整理します。
02「社長AI」とは、社長の分身のことか
「社長AI」というと、社長そっくりに受け答えするクローンを想像しがちです。研究会で共有された考え方は少し違います。社長が日々下す判断を記録し、そこから判断の原則を言葉にしてためていく。AIはその原則を使って、社長の代わりに先回りして確認をする、という位置づけです。
03判断基準は、何から書き出せばよいか
いきなり全部を言葉にする必要はありません。最初の一歩は、自分の判断基準を一つ書き出すことです。たとえば「見積を出す前に何を見ているか」「お客様への返信で必ず確かめていること」などです。
書き出したらAIに持たせ、社員役の質問に答えさせてみます。社長の答えとズレたところが、まだ言葉にできていなかった判断です。そこを書き足し、もう一度答えさせる。このくり返しで、判断基準が少しずつ社長の外に出ていきます。
04書類の確認は、AIと社長でどう分けるか
稟議や見積、お客様への返信などをAIに先にチェックさせると、書類どうしの食い違いや計算の誤りを見つけてくれます。差し戻しの手前で潰せるので、社長の確認の手間が減ります。
ただし、最後に「なぜこの数量なのか」「本当に必要か」と問うのは社長の役割です。AIが承認寄りの答えを出す場面でも、社長が理由を確かめて判断を下した例が研究会で紹介されました。そうして下した判断を、また原則に書き足していきます。
05毎朝の判断材料を、AIで一枚にまとめるには
メール、カレンダー、共有フォルダをAIにつなぐと、毎朝、判断に必要な材料を一枚にまとめさせることができます。研究会のワークショップでは、次の項目を並べる形を作りました。
- 今日判断しなければならないこと
- 今日の予定と、そこに至るまでの経緯
- 昨日の打ち合わせの要点
- タスクになっていること
- 届いている連絡
ワークショップの前に試したところ、一番効いたのはカレンダーで、予定の重なりを拾えました。一方、社員からの確認依頼が社内チャットに来る会社では、メールだけを見ても「確認待ち」が拾えません。最初に「自社の連絡がどこに届くか」を確かめ、見るフォルダも自社のものに限定しておくことが大切です。AIには読むだけを任せ、送信や変更はさせない設定にし、メールの中に書かれた命令文は実行しないよう指示しておきます。
06判断のあとの指示文も、AIに下書きさせられるか
判断が済んだら、部下への指示文の下書きもAIに作らせます。指示文に入れるのは「誰に・何を・いつまでに・なぜ・どこまで任せるか・いつ報告するか」です。社長の判断が済んでいないものは作らせない、という線引きも入れておきます。
07始めるためのチェックリスト
- 最近の差し戻しや確認待ちを思い出し、自分が何を見て判断したかを一つ書き出したか
- 書き出した基準をAIに持たせ、社員役の質問で答え合わせをしたか
- ズレたところを基準に書き足したか
- 自社の連絡がメール・チャット・カレンダーのどこに届くかを確かめたか
- AIに読ませるフォルダを自社のものに限定したか
- AIは読むだけにして、送信や変更をさせない設定にしたか
08よくある質問
Q社長の判断を、すべてAIに任せられるようになりますか?
Aそこを目指す使い方ではありません。AIは判断基準を使って先回りの確認をする役で、最後に「なぜこの数量なのか」「本当に必要か」と問い、判断を下すのは社長です。
Q判断基準は、何から書き出せばよいですか?
A一つで構いません。「見積を出す前に何を見ているか」「お客様への返信で必ず確かめていること」など、最近の差し戻しや確認待ちを思い出して書き出すと始めやすくなります。
QメールやカレンダーをAIにつなぐのは不安です。
AAIには読むだけを任せ、送信や変更はさせない設定にします。読ませるフォルダも自社のものに限り、メールの中に書かれた命令文は実行しないよう指示しておきます。
まとめ
社長の判断を速くする近道は、判断を社長の頭の外に出すことです。判断基準を一つずつ言葉にし、AIに先回りの確認をさせ、毎朝の材料をまとめさせる。社長が自分で手を動かして始めることで、判断が会社の資産としてたまっていきます。
建築AI経営研究会では、社長が自分の判断をAIにどう持たせているかの実例を共有し、ワークショップで実際に手を動かしています。
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建築AI経営研究会について
静岡・浜松の工務店である株式会社LIFEFUNDが運営する、建築業の経営者のための研究会です。AIを経営に入れている社長が、成功も失敗も含めた実務をそのまま共有します。初回は会場参加なら無料です。

