この記事の結論
- 画像生成AIは完成形を描く道具ではなく、お客様とイメージをすり合わせる道具。
- スタイル・質感・照明の指示を自社の「型」にし、社内で共有する。
- お客様には「イメージです」と添えて見せ、寸法と仕様は図面で確かめる。
01「パースが外注待ちで、提案が遅れる」
お客様に完成のイメージを早く見せたいのに、パースの作成が外注待ちで提案が遅れる。プランの段階で何案も描く余裕はない。工務店の設計や営業の現場で、よく聞く悩みです。
画像生成AIは、文章で指示を出すと画像を作ってくれるAIです。外観や内観のイメージを、短い時間で何枚も試せるようになりました。LIFEFUNDの無料セミナーでも、画像生成をテーマにした回は関心の高いテーマの一つでした。
ただし、AIが作る画像はあくまで「イメージ」です。この記事では、工務店がパースや提案資料に画像生成AIを使うときの考え方と、注意しておきたい点をまとめます。
画像生成AIは「完成形を描く道具」ではなく、「お客様と完成のイメージをすり合わせる道具」として使うと、提案に生きます。
02画像生成AIは、提案のどの場面で使うと効くか
画像生成AIが向いているのは、まだ形が決まっていない、早い段階の提案です。
研究会でも、設計事務所の立場から、デザインの初期段階からAIを使い、提案のスピードと質をどう両立させるかという講演がありました。工務店の実務に置き換えると、たとえば次のような使い方です。
- 初回の打ち合わせの後、お客様の好みに近い外観・内観の雰囲気を何案か見せる
- 外壁や内装の色・素材の組み合わせを、比べられる形で見せる
- 提案資料の表紙や、暮らしのイメージの挿絵に使う
研究会で登壇した工務店の社長の会社では、外壁の色をAIでシミュレーションしてお客様に見せる取り組みが紹介されました。別の社長は、お客様への提案動画をAIで作っています。
03画像生成AIへの指示(プロンプト)は、どう出せばよいか
画像生成AIでは、指示の文章(プロンプトと呼びます)の書き方で、出てくる画像が大きく変わります。
研究会のワークショップでは、参加者が自分でプロンプトを入力し、その場で建築パースを作りました。配ったプロンプト集は、次のような指示を整理したものです。
- スタイル:内観・外観を、スタイルごとに描き分ける
- 質感:素材の質感を調整する
- 照明:光の当たり方や明るさを調整する
毎回ゼロから指示を考えるのではなく、自社でよく使うスタイルや素材を「型」にしておくと、担当者が変わっても同じ水準の画像を出しやすくなります。最初は一人が試して型をつくり、それを社内で共有すると、全員が一から覚える手間を減らせます。
04AIの画像をお客様に見せるとき、何を伝えるか
AIで作ったイメージは、お客様の気持ちを動かす力があるぶん、伝え方に気を配る必要があります。
一つは、イメージと実際の差です。素敵な画像を見たお客様が、その通りの家が建つと受け取ってしまうと、後から「思っていたのと違う」という話になりかねません。「雰囲気を確かめるためのイメージです」「実際の仕様や寸法は図面とお見積でご確認ください」と、見せる前に一言添えておきます。
もう一つは、使う順番です。画像は、お客様の好みを言葉にしてもらうきっかけとして使うと効果的です。何案か見せて「どれが近いですか」「どこが気になりますか」と聞くと、言葉にしにくかった要望が出てきます。そこで出た要望を打ち合わせの記録に残しておけば、設計の担当者にも引き継げます。
AIで作った画像は、実際の寸法・仕様・法規と合っている保証がありません。契約や仕様の根拠にはしないでください。
05図面はまだ人の仕事
画像づくりが上達しても、図面そのものをAIに描かせたり直させたりするのは、まだこれからの領域です。研究会では、AIがCADを操作して図面を描く段階に入りつつあることが主催者のデモで示されましたが、実務の主役になっているわけではありません。
イメージは画像生成AIで素早く出し、寸法と仕様は図面で確かめる。この役割分担を社内でそろえておくことが、お客様とのずれを防ぎます。
| 画像生成AI | 図面・正式なパース | |
|---|---|---|
| 向いている段階 | 形が決まっていない、早い段階の提案 | 寸法と仕様を確かめる段階 |
| 役割 | お客様と完成のイメージをすり合わせ、好みを言葉にしてもらうきっかけをつくる | 寸法と仕様を確かめる |
| 気を付けること | 実際の寸法・仕様・法規と合っている保証はなく、契約や仕様の根拠にしない | 図面をAIに描かせたり直させたりするのは、まだこれからの領域 |
06社内で回すための準備
画像生成AIを提案の道具にするなら、個人の工夫で終わらせず、会社として決めておきたいことがあります。
- 会社のアカウントで使い、作った画像を案件ごとのフォルダに残す
- 自社のスタイルや素材のプロンプトを「型」として共有する
- お客様からお預かりした写真や図面を入れてよいか、ルールを決める
- お客様に出す前に、誰が確認するかを決める
- 画像生成AIを、提案のどの段階で使うか決めているか
- 自社のよく使うスタイル・素材を、プロンプトの型にしているか
- お客様に見せるとき「イメージです」と伝える決まりがあるか
- 作った画像を、案件ごとに残す場所があるか
07よくある質問
QどのAIが画像づくりに向いていますか?
A画像生成の機能は更新が速く、向き・不向きもよく変わります。自社でよく使うスタイルを題材に、いくつかのAIで同じ指示を試して比べるのが確実です。
Qお客様の家の写真や図面を、画像生成AIに入れてもよいですか?
Aお客様からお預かりした写真や図面は、お客様の大切な情報です。入れる場合は、会社で契約したアカウントを使い、作った画像はそのお客様のフォルダに残してください。どこまで入れてよいかを社内のルールとして決めておくと、担当者ごとに判断が分かれずに済みます。
Q画像生成は、誰が身につけるのがよいですか?
A提案の場に立つ営業や設計の担当者が、自分で触れるようにするのが理想です。研究会のワークショップでも、参加者が自分でプロンプトを入力し、その場で画像を作りました。慣れた人が一人で抱え込まず、うまくいった指示を社内で共有していくと、全体の水準がそろっていきます。
Q一回の提案で、何案くらい見せればよいですか?
A決まった数はありませんが、多すぎるとお客様が選べなくなります。方向の違う数案を見せて好みを聞き、次の打ち合わせでその方向に絞った案を見せる、という段階の踏み方が進めやすいはずです。
Q動画も作れますか?
A動画を作れるAIもあり、提案動画をAIで作っている工務店もあります。まずは静止画で型をつくり、慣れてから動画に広げると無理がありません。
Qパースの外注はやめたほうがよいですか?
Aやめる前提で考える必要はありません。お客様の好みを探る早い段階では画像生成AIで素早く案を出し、プランが固まった後の正式なパースは従来どおり、というように役割を分ける方法があります。早い段階の行き来が減れば、外注するパースの修正の回数を減らすことにもつながります。
Q社内で画像の品質をそろえるには?
A「この画像はお客様に見せてよい」という見本を何枚か決め、社内で共有しておくと判断がそろいます。見本と、そのときに使った指示の文章を一緒に残しておくのがおすすめです。担当者が替わっても、見本があれば同じ水準で提案しやすくなります。
まとめ
建築の画像生成AIは、早い段階の提案で、お客様と完成のイメージをすり合わせる道具として力を発揮します。スタイル・質感・照明の指示を自社の型にし、お客様には「イメージです」と添えて見せる。寸法と仕様は図面で確かめる。イメージと図面の役割を分けて使えば、提案のスピードを上げながら、期待とのずれも防げます。LIFEFUNDの無料セミナーでは、これまで画像生成AIを実際に操作する回も開いてきました。
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