この記事の結論
- 社長のAI学習のゴールは、詳しくなることではなく、自社の仕事で一つ動くものを作ること。
- 学ぶ順番は「動かす→安全に使う→一つ作る→発表して仕分ける→詰まりを外す」の五段。
- 最初の設定で詰まると触らなくなるため、まず自分のパソコンでAIを動かす。
01セミナーを聞いても、なぜ会社が変わらないのか
AIのセミナーに何度も参加した。話は分かった。けれど、会社に戻るといつもの仕事に追われ、何も変わらない。工務店の社長から、よく聞く話です。
研究会の主催者講演では、社長自身が使わなければ、AIは組織に浸透しない、という話から入りました。社員に任せる前に、まず社長が自分で使ってみる。その出発点でつまずく社長が多いのも事実です。
社長がAIを学ぶとき、知識を増やすことより大事なのは、学ぶ順番です。この記事では、その順番と、LIFEFUNDが経営者向けの合宿で組んでいる流れを紹介します。
社長のAI学習のゴールは「詳しくなること」ではなく、「自分の会社の仕事で、一つ動くものを作ること」です。
五つの段を、先に一覧にしておきます。
| 段 | やること | 合宿での進め方 |
|---|---|---|
| 一段目 | 自分のパソコンで動かす | 集合してすぐ、全員で一斉に設定を済ませる |
| 二段目 | 安全な使い方を知る | 入れてよい情報と任せてよい作業を、作り始める前に押さえる |
| 三段目 | 自分の会社の仕事で、一つ作る | 自社の実際の困りごとを題材に、昼から実例づくりに入り、翌朝まで作り込む |
| 四段目 | 発表し、会社の困りごとを仕分ける | 作ったものを発表し、困りごとを「自分で・外の力で・社員に」の三つに分ける |
| 五段目 | 帰ってからの詰まりを外す | 定着を確かめる面談の日時をその場で決め、一定期間の後にオンラインで修了の発表を行う |
02一段目:自分のパソコンで動かす
最初の壁は、意外なところにあります。AIの道具を自分のパソコンに入れて、最初に動かすところです。
研究会でも、ワークショップの前にAIの事前準備が間に合わず、毎回同じところで止まる参加者がいるという課題がありました。ここで詰まった社長は、そのまま触らなくなります。
だから合宿の1日目は、集合してすぐ全員で一斉に設定を済ませるところから始めます。手元で動くかどうかが、その後のすべての前提になるからです。
03二段目:AIを安全に使うには、何を押さえるか
動くようになったら、次は安全な使い方です。
AIには、会社の大事な情報を入れることになります。会社として用意したアカウントを使わず、社員が個人の無料アカウントに業務の情報を入れてしまう危険は、研究会でも指摘されてきました。どこまでの情報を入れてよいか、AIに任せてよい作業と任せてはいけない作業は何か。これを、作り始める前に押さえておきます。
自動で作業を進めるタイプのAIは、設定によっては確認なしにファイルを書き換えたり消したりします。最初は、作業する場所を限ったうえで試してください。
04三段目:自分の会社の仕事で、一つ作る
ここからが本題です。一般的な練習問題ではなく、自分の会社の実際の困りごとを題材に、AIで一つ形にします。
合宿では、昼から実例づくりに入り、夕方以降も作り込みを続けます。泊まり込みにしているのは、夜と翌朝の時間も使えるからです。会社にいると電話や確認で中断される社長も、まとまった時間を自社の仕組みづくりに使えます。夜は年配の社長もいることを考えて区切りを設け、頭が冴えた翌朝に作り込みの時間をとっています。講師やほかの社長がすぐそばにいて、詰まったらその場で聞けることも、一人で学ぶのとは違う点です。
研究会で登壇した社長も、導入は登山と同じで、いきなり完全な自動化を目指すと失敗すると話していました。最初は、自分の業務を一つ軽くするところからで十分です。
05四段目:発表し、会社の困りごとを仕分ける
作ったものは、最後に発表します。人に説明しようとすると、何ができて、何がまだできていないかがはっきりします。
そのうえで、自社の困りごとを書き出し、次の三つに分けます。
- 自分で解決できること
- 自分では解決できないこと
- 社員に解決してほしいこと
この仕分けができると、社長が自分で進めること、外の力を借りること、社員に任せることが見えてきます。社長一人で全部をやる必要はありません。
06五段目:会社に戻ってから、どう続けるか
学びがいちばん途切れやすいのは、会社に戻った直後です。合宿の会場では動いたのに、自社のパソコンで詰まり、そのまま触らなくなる。これを防ぐために、合宿の後にも区切りを設けています。
- 合宿の最後に、定着を確かめる面談の日時をその場で決める
- その面談で、作ったAIが会社で動いているかを一緒に確かめ、詰まりを外す。あわせて、2日目に書き出した困りごとの解決策として、研究会や導入支援などの次の進め方を一つご提案する
- 一定期間の後に、オンラインで修了の発表を行う
- AIの道具を、自分のパソコンで動かせる状態にしたか
- 入れてよい情報と、任せてよい作業を決めたか
- 自社の実際の困りごとで、一つ形にしたか
- 困りごとを「自分で・外の力で・社員に」の三つに分けたか
- 会社に戻ってから詰まったとき、相談できる相手がいるか
07よくある質問
Qパソコンが苦手でも、ついていけますか?
A合宿は「パソコンが苦手な社長ほど来てほしい」と考えて組んでいます。最初の設定を全員で一斉に行い、一人で詰まったままにしないのはそのためです。
Q研究会やセミナーとは、何が違うのですか?
A研究会は、他社の事例を聞き、その場で少し試し、同業の社長同士で話す場です。合宿は、話を聞いたうえで、自分の会社の実際の仕事を題材に、動くものを作り切る場です。「話は聞いた。次は、自分の会社の仕事で一回作ってみる番」という段階の社長に向けています。
Q2日間で、本当に作れるものですか?
A作るものは、自分の会社の業務を一つ軽くする程度の大きさにします。いきなり会社全体の仕組みを作ろうとはしません。それでも作り切れなかった場合には、合宿が終わった後に個別の相談の時間を設けています。
Q何を作ればよいか、決まっていなくても大丈夫ですか?
A大丈夫です。合宿の中で、自分の業務の困りごとを題材に選びます。ただ、日ごろから「この作業が面倒だ」「ここで時間を取られている」と感じていることを、いくつかメモしておくと、題材を早く決められます。
Q事前に準備しておくことはありますか?
AAIの有料プランの契約と、事前の確認票の提出をお願いしています。当日の最初の設定をスムーズに進め、作る時間を少しでも長くとるためです。
Q社員にも同じことを学ばせたほうがよいですか?
A先に社長が自分で使い、何ができて何が難しいかを知ってから、社員の学び方を考える順番をおすすめしています。2日目に書き出す「社員に解決してほしいこと」が、社員の学びを考える出発点になります。
Q作ったものを、社員にも使ってもらえますか?
A合宿の2日目には、作ったものを社内にどう広げるかを考える時間をとっています。社長が作った仕組みを社員が使い始めるときは、まず一人か二人に試してもらい、使いにくい所を直してから広げると定着しやすくなります。
Q社長一人で参加してもよいのですか?
A経営者向けの合宿は、社長ご本人に参加していただく前提で組んでいます。同じ立場の社長同士で、作ったものや困りごとを見せ合えることも、合宿の価値の一つです。
Q合宿に参加する前に、研究会に出ておいたほうがよいですか?
A必須ではありません。ただ、研究会で他社の事例を聞いておくと、合宿で自社の何を作るかを決めやすくなります。研究会で聞いて、合宿で作る、という順番も一つの方法です。どちらから始めても、自社の仕事で作ってみることが出発点です。
まとめ
社長がAIを学ぶ順番は、自分のパソコンで動かす、安全な使い方を知る、自社の仕事で一つ作る、発表して困りごとを仕分ける、帰ってからの詰まりを外す、の五段です。知識を増やすことより、自社の仕事で動くものを一つ作り、それを会社で使い続けることが、社長の学びを会社の変化につなげます。LIFEFUNDの経営者向けAI合宿は、この順番を2日間で進めるために組んだプログラムです。
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