この記事の結論
- AIで投稿を増やしても、商談と追客が弱ければ契約にはつながらない。発信・商談・追客の流れ全体で使う。
- お客様もAIで商談を見比べ得る前提で、商談で伝える中身の確かさを高める。
- 広告を頼むときは、成果とみなすお客様と一件あたりの費用の上限を先に決める。
01「AIで投稿を増やせば、お客様は増えるのか」
集客にAIを使いたい、という工務店の社長は少なくありません。研究会の事前アンケートでも、SNSや広告まわりの業務を効率化したいという声は多く寄せられています。
ただ、集客は、知ってもらう、問い合わせをもらう、商談する、追客する、契約する、という一連の流れです。AIで投稿や広告の文章を量産しても、その後ろの流れが弱ければ契約にはつながりません。AIが効くのは入口の発信だけではなく、商談と追客にもあります。
段階ごとのAIの使い道を、先に一覧にしておきます。
| 段階 | AIの使い道 | 人が持つこと |
|---|---|---|
| 発信 | SNSの投稿文の案、採用ページや提案動画、外壁の色のシミュレーション | 出す前に、事実と違う表現や言い過ぎがないかを確かめる |
| 商談 | 会う前の提案書づくり、商談の録音から競合・仕様・資金計画の事実を書き出す、AIを相手にした商談の練習 | 金額・工期・仕様の確約は、担当者が自分の言葉で伝える |
| 追客 | 次に連絡すべきお客様と理由の書き出し、追客の連絡文の下書き、段階ごとの集計 | そのお客様との経緯に合っているかを、担当者が読んでから送る |
02お客様の側も、AIを使い始めている
研究会とは別の場で、工務店の営業を支援している講師から、こんな例が紹介されました。複数の工務店を並行して検討していたお客様が、すべての商談を録音し、AIに「どの営業担当が一番良いことを言っていたか」を判定させて、依頼先を決めたというものです。
紹介されたのは一つの例ですが、お客様が商談の中身をAIで見比べることは起こり得る、という前提で考えておく必要があります。広告や投稿の見栄えだけでなく、商談で何を伝え、どんな約束をしたかが問われる。集客にAIを使う話は、商談の質を上げる話と切り離せません。
03集客の発信づくりに、AIをどう使うか
入口の発信では、AIは「下書きを速く、たくさん出す」役割に向いています。
SNSの投稿。 完成写真と現場のひと言を渡して、投稿文の案をいくつか出させます。研究会で登壇した工務店の社長も、自分でAIを使ってSNSの運用を回し始めていました。
採用ページや提案の動画。 同じ社長は、採用ページや提案動画もAIを使って形にしています。
色や仕上がりの見せ方。 別の講演では、外壁の色をAIでシミュレーションしてお客様に見せる取り組みも紹介されました。
AIが書いた投稿や広告の文章には、事実と違う表現や言い過ぎが混じることがあります。会社として出す前に、誰が確認するかを決めておいてください。
04商談の前と最中に、AIで何ができるか
問い合わせをもらった後こそ、AIの出番が増えます。
研究会で登壇した工務店の社長は、集客・商談・受注・育成の各段階を、勘や感触からデータに置き換える進め方を紹介しました。お客様のアンケートの情報をもとに、会う前に一人ひとりに合わせた提案書をAIが作る、という取り組みです。
先の講師がいちばんに挙げたのも、商談の録音と分析でした。録音から、競合・建築の仕様・資金計画などの事実を書き出す。競合への対策を徹底し、AIを相手にした商談の練習も取り入れる。営業の現場からは「AIを使って何になるのか、大事なのは人だ」という反発も出がちですが、お客様の側がすでにAIで比べているという事実を、管理者が説明の材料にすべきだ、という話でした。
05追客と振り返りに、AIをどう使うか
LIFEFUND自身のセミナー集客を見直す打ち合わせでも、申し込みの後の連絡やアンケートで取りこぼしが出ていることが課題になりました。広告で「何件取れたか」だけを見ていると、その後ろの流れが見えなくなる、という危機感です。
AIは、この「後ろ」を整えるのにも使えます。
- 商談の記録から、次に連絡すべきお客様と、その理由を書き出させる
- 追客の連絡文の下書きを、お客様ごとの事情に合わせて作らせる
- 問い合わせから契約までの段階ごとに、どこで止まっているかを集計させる
段階ごとの数字が整っていれば、広告を増やすべきか、商談の後を直すべきかを判断しやすくなります。
06広告を頼むときは「何を成果とするか」を決める
同じ打ち合わせで議論になったのが、広告会社への指示です。「資料請求や申し込みが取れれば成果」という指示のままだと、報告が「件数は取れました」で終わってしまう。だから、どんな人を成果とみなすか、一件にいくらまでかけてよいかを伝える必要がある、という話でした。
工務店に置き換えれば、本当に欲しいのは問い合わせの件数よりも、建てる時期や予算が合ったお客様との商談です。広告を頼むときは、次の二つを先に決めて伝えておくと、AIで広告の文章や画像を作るときも、誰に向けて何を伝えるかがぶれにくくなります。
- どんなお客様の問い合わせを成果とみなすか
- 一件の問い合わせに、いくらまでなら費用をかけてよいか
- 集客の成果を「問い合わせの数」だけで見ていないか
- 商談は録音して、記録が残る形になっているか
- AIが書いた投稿・広告を、出す前に誰が確認するか決めているか
- 問い合わせから契約までの段階ごとに、止まっている所が分かるか
- 広告会社に、成果の定義と一件あたりの上限を伝えているか
07よくある質問
Q小さな工務店でも、ここまでやる必要がありますか?
A全部を一度にやる必要はありません。先の講師が紹介した工務店でも、メールの作成や、録音からの活動記録づくりといった身近な業務から社内で回していました。まずは商談の録音と、SNS投稿の下書きのように、すぐ始められるものから一つ選んでください。
Q社員がAIで作った投稿は、品質がばらばらになりませんか?
A社長が気にしている点(使わない言葉、必ず入れる情報、写真の選び方など)を書き出してAIに渡し、出す前にAIに先に見させる方法があります。最終確認は人が行いますが、見直しの手間は減らせます。
QAIで作った画像を、広告やSNSに使ってもよいですか?
A雰囲気を伝えるイメージとして使うのは一つの方法です。ただし、AIの画像は実際の施工例ではありません。実際に建てた家の写真と混同されないよう、「イメージです」と分かる形で使ってください。施工例として見せるなら、実際の写真を使います。
Q追客の連絡文をAIに作らせるとき、気を付けることはありますか?
Aお客様の名前や家族構成、資金の話などを入れることになるため、会社で契約したAIのアカウントを使ってください。また、AIが作った文面は、そのお客様との経緯に合っているかを担当者が読んでから送ります。経緯を知らないAIの文面をそのまま送ると、かえって信頼を損ねることがあります。
Q発信・商談・追客のどこから手を付ければよいですか?
A問い合わせから契約までの段階ごとに、どこで止まっているお客様が多いかを先に確かめてください。問い合わせ自体が少ないなら発信、問い合わせはあるのに商談に進まないなら問い合わせ直後の対応、商談の後で止まるなら追客、というように、手を付ける場所が変わります。AIで段階ごとの数字をまとめさせるところから始めるのも一つの方法です。
QAIに任せてはいけない部分はありますか?
Aお客様との約束にあたる内容、たとえば金額、工期、仕様の確約は、AIの文章に任せず担当者が自分の言葉で伝えてください。発信や追客の下書きはAIに任せても、約束の中身は人が責任を持ちます。下書きと約束を分けて考えると、AIを安心して使える範囲がはっきりします。
まとめ
工務店の集客にAIを使うなら、投稿や広告の下書きを速くするだけでなく、商談の前の準備、商談の記録、追客の連絡、広告の成果の決め方まで、流れ全体で考えてみてください。お客様の側もAIを使い始めている以上、発信の量より、商談で伝える中身の確かさが問われます。LIFEFUNDの無料セミナーでは、集客にAIを使う方法も扱っています。
建築AI経営研究会について
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